女性は、閉経の時期に女性ホルモンの急激な減少が起こり、更年期障害や様々な病気の出現頻度が高まります。
一方男性は、男性であることを保つ男性ホルモンは、50歳を越えてもあまり低下せず、70歳以降になって明らかな低下が始まります。 男性
ホルモンから女性ホルモンもつくられるので、更年期以降の女性より、男性の方が血中女性ホルモン値も高く、男性の骨粗しょう症発症は女性
よりも約10年遅れます。 したがって、最近注目されてきた男性更年期障害が、果たして本当に存在するのかどうか疑問視する声もあります
現在、医学界では、加齢に伴う男性ホルモン低下に基づく生化学的な症候群を、PADAM(パダム:高齢男性の男性ホルモン低下症)と定義
し、その病態を整理し、治療を行っています。
次に、男性更年期障害(PADAM)の臨床症状をまとめてみました。
・精神・心理状態 : 落胆、うつ、苛立ち、不安、神経過敏、生気消失、疲労感
・身体状態 : 関節・筋肉関連症状、発汗、ほてり、睡眠障害、記憶・集中力低下、肉体的消耗感、骨粗しょう症
・性機能関連症状 : 性欲低下、勃起障害、射精感の消失
このようにまとめてみますと、女性の更年期障害とよく似ているともいえますね。 男性更年期障害が疑われるときに、ハイネマンの
「AMSスケール」を用いて、その重症度を臨床的に診断します。
□総合的に調子が思わしくない
□関節や筋肉の痛み(腰痛、関節痛、手足・背中の痛み)
□ひどい発汗(緊張や運動とは関係なくほてる)
□睡眠の悩み
□よく眠くなる、しばしば疲れを感じる
□イライラする
□神経質になった
□不安感(パニック状態になる)
□体の疲労や行動力の減退
□筋力の低下
□憂鬱な気分(落ち込み、悲しみ、涙もろい、気分のむら)
□「絶頂期は過ぎた」と感じる
□力尽きた、どん底にいると感じる
□ひげの伸びが遅くなった
□性的能力の衰え
□早朝勃起(朝立ち)の回数の減少
□性欲の低下
各設問に対し訴えの程度を1(なし)から5(非常に重い)までチェックをいれます。
合計点数が、
17〜26点 : なし
27〜36点 : 軽度
37〜49点 : 中程度
50点以上 : 重度
男性更年期障害が強く疑われる場合には、ぜひ専門医を受診してください。 血中男性ホルモン(テストステロン、フリーテストステロン)値を
測定し、診断を行います。
・骨に対する効果は確定していない
・筋肉量の増加、筋力の増加、脂肪分の低下が認められる
・記憶力に対する効果は不明
・抑うつの改善あり
・性機能の向上あり
・前立腺がん患者は禁忌。 前立腺がん発生の危惧あり
・多血症、血栓症に注意
・肝障害、脂質代謝障害、睡眠時無呼吸症候群、水とNa(ナトリウム)の貯留、女性化乳房に注意
・抗凝固剤(ワーファリン)との併用注意
前立腺がんに関しては特に注意が必要で、男性ホルモン投与中は、前立腺がん腫瘍マーカー(PSA)の採血を定期的に実施します。
このように、男性ホルモン補充療法も、専門医療機関で十分な観察や検査を行いながら、慎重に実施することが大切です。
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