国立がんセンター元総長の杉村隆先生のがん予防のための12カ条
1.バランスのとれた栄養をとる
2.毎日変化のある食生活を
3.食べすぎを避け、脂肪は控えめに
4.お酒はほどほどに
5.たばこを少なくする
6.食べ物から適量のビタミンと食物繊維をとる
7.塩辛いものは少なめに、熱いものはさましてから
8.こげた部分は避ける
9.カビの生えたものに注意
10.日光にあたりすぎない
11.適度にスポーツをする
12.体を清潔に
たばこが関与するがんとしては、肺がん、喉頭・咽頭がん、食道がん、膀胱がん、膵臓がんなどが代表ですが、そのほかのがんも軽度の関与が
みられます。 禁煙をすることや、たばこをはじめから吸わないことは、ほかのどんな公衆衛生活動よりも延命に寄与する
ことがわかっています。
お酒はたばこほど「百害あって一利なし」というわけではありません。 適度なお酒は食欲を増し、人間関係を円滑にし、ストレス発散にも効果的
です。 実際、学術的にも、毎日少量の飲酒を続ける人は心臓発作を起こしにくいという報告があります。 少量のアルコールは、善玉コレステロール
を増やし、動脈硬化を抑える作用があります。
脂肪の多い食事は、乳がん、大腸がん、前立腺がん、子宮内膜がんのリスクを増大させることがわかっています。
これらのがんは、脂質が全摂取エネルギーの40%を越える西欧においては、罹患頻度、死亡率共に高くなっています。
一方、昔の日本のように、脂肪摂取が20%未満の国では、これらのリスクは高くありません。 しかし、日本も徐々に、文化も食生活も欧米化し、
これらのがんの比率がどんどん高まっているのが現状です。
日本の食文化として、しょうゆ、漬物、塩味の焼き魚など、諸外国に比べるとまだまだ塩分摂取量が多いのが現状です。
塩分を取りすぎると、なぜ胃がんが起こりやすくなるのでしょうか。 塩分が多量に入ると、胃の粘膜が傷つきます。 胃の粘膜が繰り返し傷つけ
られると、萎縮性胃炎という、胃がんが起きやすい状態になるのです。 胃がんと共に高血圧症にならないためにも塩分は控えましょう。
あなたも、お焦げに発がん性があると聞いたことがあるのではないでしょうか。 しかし、確実にお焦げでがんをつくろうとすると、焼き魚100トン
を毎日365日間食べなければなりません。 したがって日常生活では、お焦げの発がん性はあまり問題なさそうです。 しかし、発がん物質の
体内蓄積を考えると、好んでお焦げを食べることは避けたほうがよいでしょう。
食物繊維は、明らかに大腸がんの発生を抑制します。
食物繊維を多量に摂取すると、胆汁酸(大腸がんのプロモーター(発がん促進物質))の体外排出を促すとともに、腸管運動を高め、便の排出
もよくなることがわかっています。 また、食物繊維は食べ物に含まれる「女性ホルモン様・男性ホルモン様物質」を吸収・不活化することによって
、乳がんや前立腺がんの発生にも抑制的に働いていることが知られています。
一日にとりたい食物繊維量は20g以上で、少なくとも一日に5〜9品目の果物や野菜を食べることが必要です。
緑茶や紅茶には、エピガロカテキンガレートなどのカテキン類が多く含まれています。 このカテキン類は、
強力な抗酸化作用を持っています。 がんの発生には、活性酸素によるDNAの損傷が関与していると考えられ、この点からも
カテキン類の抗酸化作用は大きなものがあると思われます。
実際、静岡のお茶の産地の町では、一日に10杯以上のお茶を飲み、胃がんの死亡率が明らかに低下しています。 また、
お茶の抗酸化作用は、心血管障害の防止にも貢献していることが確かめられており、欧米での研究によると、1日3杯のお茶を摂取していると、
心筋梗塞のリスクが11%、脳卒中のリスクが26〜66%軽減したとの報告もあります。
豆腐や味噌の原料である大豆には、魚や肉と比較しても、まさるとも劣らないほどの良質のタンパク質が含まれています。 適度な脂肪分を
含み、食物繊維やビタミンEも豊富です。
さらに、大豆にはイソフラボンというポリフェノールが含まれています。 化学構造が女性ホルモンと似たところがあり、体内で
きわめて弱い女性ホルモン様作用を示します。 このため男性では、抗男性ホルモン作用を示し、前立腺がんの発生を抑える
方向に働きます。 また女性では、本来の女性ホルモンとは拮抗的に働き、乳がんの発生も抑制すると考えられます。
さらに女性では、この弱い女性ホルモン様作用によって、更年期以降の骨粗しょう症や動脈硬化の進行を抑えることも知られています。
また、味噌に関していえば、みそ汁を毎日飲む人に胃がんが少ないことが国立がんセンターの17年にわたる調査で
わかっています。
ビタミンA(βカロテン)、ビタミンC、ビタミンE(トコフェロール)などを、抗酸化ビタミンと呼びます。 最近では、ビタミンEが細胞内で抗酸化作用
を十分発揮するためには、コエンザイムQ10(CoQ10)という補助因子が必要とされることがわかりました。
発がん物質やたばこから多量に発生する活性酸素(フリーラジカルなど)によって遺伝子が傷つけられることにより、がん遺伝子が出現し、さらに
がん抑制遺伝子の活性がなくなり、発がんにつながります。 したがって、確実な抗酸化物質であるこれらの抗酸化ビタミンを毎日の食生活
の中で効率よく摂取することが極めて大切です。
◆ビタミンA(βカロテン)
ビタミンAは動物性食品の中だけに含まれています。 植物にはビタミンAの材料となるカロチノイド(βカロテンなど)が含まれており、その
βカロテンを多く含んでいる食材がにんじん、ほうれん草、かぼちゃなどの緑黄色野菜です。
国立がんセンターでの17年にわたる調査では、緑黄色野菜を毎日食べる人は、食べない人に比較して明らかに長寿であり、また、
肺がん、胃がん、大腸がん、前立腺がん、子宮頸がんの死亡率が低下していました。
◆ビタミンC
ビタミンCは、イチゴ、柿、ブロッコリー、キャベツなどに多く含まれています。
ビタミンCには、強い抗酸化作用のほかに、強力な発がん物質であるニトロソアミンの生成を抑制する働きもあります。 また、白血球の中の
好中球の活性維持・増強にも関与しており、このことがビタミンCが風邪によく効く根拠にもなっています。 さらにビタミンCは、
皮膚の成分であるコラーゲンの合成にも欠かせないものですし、ステロイドホルモンやアドレナリンの合成にも大切な役割を
しています。 はっきりとした胃がん抑制効果もあります。
◆ビタミンE
ビタミンEは、植物油、マーガリン、ナッツ類、大豆、たらこ、うなぎ、小麦胚芽などに豊富に含まれています。
ビタミンEも、ビタミンCとともに、強力な発がん物質であるニトロソアミンの合成を阻害します。 ビタミンEとビタミンCは、現在、口腔がん、
食道がん、胃がん、直腸がんについて発がんリスクを軽減することが確かめられています。
◆コエンザイムQ10(CoQ10)
コエンザイムQ10(CoQ10)はビタミンではありません。 通常は体内で合成されるものですが、年齢や病気によって、コエンザイムQ10の生成
は低下します。 特に40歳以降は著明に低下していきます。 したがって、このコエンザイムQ10を補充するには、サプリメントとして摂取するしか
ありません。 このコエンザイムQ10は、ビタミンEを助ける強力な抗酸化物質であることがわかっており、いろいろな病気予防の強力なサプリメント
として位置づけられています。 狭心症などの心疾患、パーキンソン病にも有効です。 またコエンザイムQ10を投与することによって、
乳がんの治療や転移の抑制に効果があったとする報告もあります。
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